5月18日(月)朝6時。大阪で目覚めました。この日の午前中に改善支援の業務が大阪で入っておりました。いざ事務所へ!とホテルを一歩出ると異様な光景が…。今回の宿泊場所は淀屋橋。まさにビジネス街ですが、そこへ通勤してくる方の90%近くがマスクをしていました。前日東京から伊丹経由でホテルにチェックインした際にはおそらく電車乗客の20%もマスクをしていなかったのに…街は異様と言うほかありません。街中が大きな病院になったようです。
まさにこの日は、前日から兵庫や大阪を中心に豚インフルエンザの国内感染がわかった時期でした。しかしこの報道を見ていて何故このような大騒ぎをしているのか?という感覚でした。理由は、豚インフルエンザが見つかってから各国へ飛び移り、我が国でも水際対策と称して機内での検査強化を行っていましたが、私は既にその時点で確実に国内に入ってきていたと思っておりました。なぜならば通常菌がみつかるまでの期間や潜伏の期間は相当あるもので、おそらく各国とも見つかった時点では多くの感染者が既に国内に何のチェックもなく入り込んでいると思ったからです。このワールドワイド、グローバルネットワークの時代です。各国から日本へ入国する方の数や近畿方面から東京へ移動する方の数など考えてみたら、機内チェックなど全くの芝居に等しいと感じました。
また、関西で感染者が見つかった際に、多くの学校では休校やコンサート、イベントの類を中止にしましたが、これも実際に休校にしたところで半数以上の方が街に出かけていたようでどの程度効果があったのか?…
しかし今回の体験で、我々は核爆弾並みの脅威として新型ウィルスが確実に存在して、その対応策はどの国、地域においてもほとんど無力化であるいうことを認識できました。
実際に上記の我が国の対応(機内検疫、休校、企業によっては出張停止など)は、完全に今回のウィルス対策ではなく、全く未知の且つ死に至るウィルスへの対応の予行演習を行っているのだとあるマスコミは解説していました。
しかしそうだとしたら今回の対応は非常にお粗末なもので、今回の措置では十分な予行演習ができていなかったと感じます。やるならばその目的を徹底的に伝えて、"今"のための対応ではなく"来るべき時"への対応準備をしていることを明確にして、中途半端な行動ではなく、全国民が共有のリスクだという認識でより強く望むべきであったと考えます。
さて、この新たな脅威が、いつ、どのような形で、どこで、だれに感染するのか分からないからこその予行演習、準備の重要性ですが、実はサービス業も全くこの要件に近いのです(‥とここでビジネスの話になります)。
多くのサービス企業においては、予見できる内容に対応する業務標準やマニュアル、チェックリストなど準備して対応しますが、実際にはサービス業の特徴でもある『生産と消費が同じタイミングで行わる』に対応しなければならないために予定した結果にはならない場合も多々あるのです。従ってサービス業において業務標準、マニュアル、チェックリストの可視化は重要ですが、一番重要なのはそれらを活用した予行演習と準備なのです。
多くの企業では標準書やマニュアル、チェックリストを作成することに注力して、実際に活用してみる、予定していなかった事項に対応してみるといった実技部分の準備が足りないように感じます。
例えば旅館やホテル業などはまさに"生産と消費が同じタイミング"で行われます。つまりやり直しが利かないのです(接客が失敗したのでもう一度玄関から入り直して下さいと言う方はいないですよね)。マニュアル通りにお客様に説明して、予定通りの受け答えがマニュアルに記載がない場合に受け答えに固まってしまうのが良い例でしょう。そのためにもマニュアルやチェックリストを使った実際の予行演習が重要なポイントになります。
つまり今回のインフルエンザ騒動と同様に指針や対応策(標準書)を用意するだけでなく、実際に行使した場合の演習が非常に重要であり、そのキーワードは"臨機応変"なのです。どうも日本人の特性として、予め決められたことを守り抜く力はどの民族よりも上であるような気がしますが、臨機応変に対応していくことは苦手のような気がします。外交でも経済でも臨機応変こそが必要なのに…
さて、話を会計事務所の現場業務にしましょう!上記をご覧になってわかるとおり月次や決算と言う特にお客様と対峙する"サービス業"の部分においては以下の訓練が今後事務所の"差"になってくるような気がします。
1.まずは事務所の業務標準が可視化され誰でも利用できるように訓練されていること
2.標準だけでなく実際の予行演習(例えば動向や所内でのロールプレイングなど)を常に行っている
3.予行演習の中で"臨機応変"訓練をして、予見外への対応も予め想定した対応をできるようにしておくこと
4.できるだけ臨機応変の情報交流を所内で行って、知識として対応策を蓄えておくこと(自分だけの特別なノウハウにしてはいけない)
5.想定できる要件を基に業務標準をレベルアップしましょう!(例えばこれにより10年経験しないとわからなかったことが5年、3年へと短縮できるのです)
と言っても難しく考えなくとも良いです。
出来るところから実践しましょう!例えば、担当交代によって、実は社長が経理知識に乏しく理解度が低いとわかった際に、専門用語を1度も使わずに社長が理解できる試算表説明ができますか?
例えば、重要な話の際に"社長!"と呼びかけるのではなく"***さん!"と臨機応変に対応してみることをやってみたことがありますか?
皆さんは業務標準を遵守した上で、どの程度臨機応変に顧問先様に対応できていますか?実は顧問先満足度向上は"臨機応変"対応の回数向上なのかもしれませんね。
これこそがワン・トゥ・ワン対応の原点です。
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イプシロンコンサルティング 代表取締役 角田 達也