例えば次の言葉の意味を聞かれたら皆さんは相手に理解して頂けるように説明することができますか?
『アライアンス』
英語を直訳すると同盟・連合・協力という意味だそうです。
しかしマネジメント戦略上で使う場合には複数の企業間の様々な連携や共同行動を示していることです。
従って合併、持ち株会社の戦略や単なる業務提携もアライアンスと言います。OEM生産方式も広義のアライアンスです。
『コンプライアンス』
法令順守のことです。但し、単に関係法令を遵守するという意味だけでなく、実効性を高めるために自主行動基準を作り、企業倫理を確立して遵守することという意味も含まれていますので、かなり広義に渡る法令順守のことです。
弊社で実施している士業の情報セキュリティコンサルティングはまさに高度個人情報の取り扱い・保護・保全に関する『コンプライアンス』です。
『モラル・ハザード』
もともとは保険用語で倫理観の欠如という意味で用いられていましたが、現在では保険だけでなくマネジメントの様々な場面で用いられています。
マネジメントで用いられる場合には、倫理観だけでなく責任感の欠如というように置き換えられて使用される場合が多いようです。
『ブロードバンド』
大容量データを高速通信できるようになってきましたが、一般的に1MB以上のデータ転送速度を持つ通信方式(CATVやADSLなど)をブロードバンドと呼び、通常のアナログ回線方式を利用した通信方法をナローバンドと呼びます。
その他にも何気なく使用している『コーポレート・ガバナンス』『アカウンタビリティ』『アウトレットモール』『EDI』『エンパワーメント』『エンプロイアビリティ』等々、もしもお客様から聞かれたら的確に説明できるでしょうか?
参考文献:早分かりビジネス用語(PHP研究所)
単純な外国語だけでなく、造語などもあるので本来の意味として適切な場面で適切に使用するというのは難しいようです。
もしも全部完璧に回答できるという方がいたら、あなたはどのような場面で使用していますか?
相手もその道のプロであれば問題ないと思いますが、通常の会話や指導で上記のような用語を使用したらどうなるでしょうか?相手が知らない言葉を使用すると頭が良く見えると思われるでしょうか?お金が沢山もらえるようになるでしょうか?
ビジネスで一番重要なことは、『何を伝えたか』ではなく『何が伝わったか』です。
これは士業だけでなく、営業会社も製造会社も、TOPも管理者も一般社員にも重要なコミュニケーション要素です。
多くの知識を一生懸命勉強しても、実践の場で全く役に立たなければ、お客様は満足してお金を支払ってはくれません。逆に何を言っているかわからないということで、契約解除の恐れさえあります。
最近TVを見たり、会話をしていると、たまに相手が言っている事がわからない時があります。知り合いならば詳しく説明して下さいと言えますが、一般的にはわかったフリをしている場合が多いようです。
さて、専門知識や技能をお客様にサービスとして提供する場合には、特に他の業種と比べて特に『何が伝わったか』を意識する必要があります。なぜならば専門知識や技能は、一般的な我々の生活やビジネス場面で出てくることが少ないので慣れ親しんだ言葉ではないからです。
もしも病気にかかってお医者さんが患者に病状について専門用語を沢山駆使して説明したらどうなるでしょうか?おそらく患者はちんぷんかんぷんで、お医者さんは大丈夫だよと説明しているにも関わらず、患者は難しい言葉ばかり使用するので何か伝えたくないような危険な症状では?と勘ぐるかも知れません。
本当のプロフェショルは裏側(頭の中)には大量の知識を有し、実践の場面(会話)ではそれら専門の言葉や技能をできるだけ表面上に出さずに、我々が普段使用する一般的な言葉やわかりやすい日本語で説明するものです。
普段のお客様との会話を自己分析してみて下さい(スタッフ通しで相互チェックしても良いでしょう)。本当にあなたが伝えたかったことが、相手に確実に伝わっているでしょうか?
素人の方に伝えるべきことを100%伝えることができるのが真のプロフェショルの姿です。
真のプロフェショナルは専門知識の習得と同じくらいの時間を費やして、プロとしての『聴く』『話す』の力量向上の習得も行っているのです!