<0円ビジネス事例>
今、全てにおいて過去の常識が非常識になろうとしています。いやもう一部始まっています。あちらこちらで…。皆さんも実感しませんか?日々の変化を。
その変化の中でも最近特に顕著になってきたのが0円ビジネスモデルです。
皆さんも毎日0円ビジネスにお世話になっていませんか?
例えば……。マクドナルドで月曜に朝8時から9時までコーヒー0円(店舗限定あり)。マイクロソフト社の表計算やワープロ機能ソフトと互換のあるアプリケーション利用代金が0円。地図をネット上で見たり、確認できるグーグルアースも0円。大容量のメールやファイルデータを0円で相手方に発信できる宅ファイル便もタダです。
正直、今日私たちが利用している0円ビジネスの例を挙げだしたらきりがありません。
それ位私たちは普通にこのビジネススキームを活用しだしたのです。
よく問題になるのが、0円ビジネスモデルで採算取れるの?という話題です。確かに0円ビジネスの初期はWEBサイト上での事例が多く、その利用法はユーザに負担してもらっていたコストを企業(WEB上の広告主)が負担する代わりにユーザ負担を0円にするという方式でした。ある意味私たちが普段見ている民放テレビの方式ですね。*→しかしながら面白いもので、最近私は無料の民放放送というものはほとんど見たことがなく、e2byスカパーのような有料コンテンツばかりみています→*実はここにもビジネスヒントがあるのです!ヒトは価値あるものには金を払う良い例でしょう。
上記の初期0円ビジネスモデルから最近ではWEBなど関係なく、先ほどの例のコーヒー0円やカメラのプリント0円などアナログ部分にも拡大しています。方式はWEB広告と一緒ですがフリーペーパーなどもアナログですね。そうは言っても、前述以外にもSkype(スカイプ)やYou Tube(ユーチューブ)などデジタル0円もますます広がりを見せており、その勢いはとどまるところを知りません。
<0円ビジネスの本質的目的とは>
それでは0円ビジネスの魅力やその本質的目的、戦略は何でしょうか?これは0円ビジネスを展開している業種や提供サービスにより異なるので一概には言えませんが、色々な事例を見て考えると次のようなことが考えられます。
T.市場の早期囲い込み戦略
⇒先進国が軒並み少子高齢時代を迎える中で、確実に過去と異なって市場パイが小さくなってきています。そこでまず必要な戦略は、私達を知ってもらい、理解してもらうことです。小さくなってくる新規市場を0円で早期に囲っておこうという戦略目的です
U.商品やサービスの価値認識戦略
⇒どんなに自社の商品やサービスに自身がある、又は利用者の声が素晴らしいと言っても、最終的に自身が判断して、自身の価値観にフィットする商品やサービスなのかを確認してもらうことが必要です。この確認作業を0円で行う戦略目的です
V.相乗り戦略
⇒前述のマクドナルドのコーヒーを例にあげると、上記1、2の目的もありますが、やはり最終的はメインの商品であるハンバーガーを購入してもらうためのコーヒー0円戦略です。コーヒーは0円で提供しても、メインとなる付加価値や利益の大きい商品を相乗りで購入してもらう0円戦略です
W.リピーター/ファン戦略
⇒新規だけでなく、過去に自社のお客様であった方を、いつまでも自社のファンとして引き付けておくための0円戦略もあります。誰もが使い慣れたもの、いつもの味、いつものサービスに安心感を覚えることは言う前でもありません。全てではなく、入り口部分だけ、商品やサービスの一部分だけでも0円にしてしまい永久顧客化する0円戦略です
そして5番目に考えられること。おそらくこれからの0円ビジネスの本質になると思われることが次の事項です
X.ビジネス本業再構築のための0円戦略
⇒どのような会社でもサービスでも、時代要求とともに提供商品やサービスは変化してきます。例えば、暑い夏に涼を提供するサービスとして、団扇を提供していた会社がやがて扇風機を提供しだした。その扇風機もエアコンに変わったというように、時代の多くが求めるものによって商品やサービスは変化して行くのが普通です。この場合に、当社の団扇は熟練の職人が作成した最高級の団扇だと言い張っても、残念ながらその価値を認めてくれる方はわずかになって、多くの方が便利でより涼を求められる扇風機を購入し出すはずです。その際に団扇が0円ビジネスとして活躍するのです。しかしいつの間にか扇風機もエアコンに取って替わられます。その際により効率的にエアコンの風が循環できるように扇風機が0円ビジネスで活躍します。
つまり0円ビジネスは、市場・顧客要求の変化に伴って利益源泉が移動して行く中で、次の源泉はどこにあるのか探したり、価値のなくなった商品やサービスにしがみつくのではなく0円として次の源泉を創りだすための戦術として活用すると考えられるのです。
よく間違われるのが、0円というキャッチフレーズでビジネスを仕掛けると、超大安売り!や価格破壊!などと言われますが、それは間違いです。1円であれば左記のような考え方も成り立ちますが、0円では価格破壊ではないのです。何しろ価格がないのですから‥。だからこそ0円ビジネスの仕掛けは自社のリエンジニアリング、商品・サービスの再構築戦略として位置づけられるものとなっていくと私は思います。
<士業事務所の0円ビジネス>
士業事務所業界でも0円の文字が最近目につきます。『会社設立費用0円』『顧問料0円』『相談料0円』『ASP会計ソフト利用0円』…。特に最近ではインターネットで士業事務所のHPを検索すると0円の文字ばかりです。
しかし…。先程記述したような0円ビジネスの目的や本質を理解して、利益源泉を移動させる手段として活用されているように感じられるものはほとんどありません。つまり、ほとんどが場当たり的で、戦略的な0円ビジネスではないようです。
しかしながらまさに士業事務所こそ市場・顧客要求に大きな変化がある業種はありません。何しろ10年前、20年前とは全く要求が逆転してしまっているのですから。『節税対策が必要だ!』⇔『どのようにして利益を出したらよいのか?』/『2カ月遅れてもきっちりとチェックした試算表を提供します』⇔『概算ですが月初には試算表をメールで提供できます』など事例を挙げれば沢山出てきます。
士業事務所でもおそらく今後0円ビジネスを"変化への対応策"として活用してくる事務所が沢山出てくるでしょう。その際の活用ポイントは次の通りです。
1.利益源泉をシフトしたあとのサービス商品企画を至急手がけておくこと(上記Xの対応)
2.いつまでも過去の成功ややり方にこだわらない(特にTOP自身が)
3.新規のお客様に向けた0円ビジネスよりも、既存のお客様に向けた0円ビジネスの強化を戦略化する(今後売っていくものによって、個人を対象になるようなもの=例え
ば相続など=を想定すると新規へのアプローチに金を掛けるよりも、既存市場の0円の掘り起こしの方がコストも安く済むし、何しろ結果が早く出るから)(上記Wの対応)
4.自社内でも顧客側でも何が0円で何が有償なのか理解できるようにサービスメニューと個別価格設定作りを至急行う(上記Vの対応)
5.とにかく新たなお客様とは面談できる機会を1回でも多く設定できるような0円の仕
組みを考える。通常、面談できれば70%の確率でクローズできる業界なのですから…(上記T、Uの対応)
以上、最後は税理士、社労士、行政書士など士業事務所の例で記載しましたが、その本質は地域、業種問わず一緒のはずです。0円ビジネスとは日本全国いたるところで過去の常識を否定して、新たな常識を創りだすムーブメントと考えた方が良いのです。
ここで先ほど私が無料の民放テレビを見ないで、有料のコンテンツを購入していると書きましたが、0円ビジネスとは実は本当の価値を見いだし、購入させるという仕組みも担っているのです。本物と偽物、高価値と無価値、必要なものといらないもの、欲しいものと不必要なものを区分できる仕組みでもあるのです。だからこそ今後は戦略的に0円ビジネスを研究する必要があります。
最後に…。今後市場が急速に縮小する中で、まずは"知ってもらい"、"出会い"、"共感できる"こと。これがビジネス成功の着地点のような気がします。
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イプシロンコンサルティング 代表取締役 角田 達也
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