暑かった夏もそろそろ終わりですね。うれしい半面夏が過ぎ去っていく一抹の寂しさも感じる今日この頃です。さて、今年のイプシロン特別企画 事務所見学研修(10月11日(金) アイクス税理士法人山陰支店様(鳥取県米子市))も40名以上の参加見込まれ盛況になりそうです。参加希望の皆様はどうぞお早めに。
さて、当社が15年前から進めてきた【製販分離】も会計業界では一般用語のようになり、先生方との会話でも不通に出て位に普及してきました。
しかしながら本質的な理解はまだまだなされていないようで、単に仕事を工程ごとに分解して、担当する人を割り付けて、予め決められた手順、マニュアル通りにこなしていく‥これを製販分離を定義づけるような傾向があるようです。
確かに過去はこの考え方で良かったのです。昭和の時代のプロダクトアウトの世界ではこの方程式を忠実に守ることこそが品質の維持だったのです。私たちがカイゼンのバイブルとしているISO9001マネジメントシステムでの定義もかつては上記の通りでした。
しかし時代要求は複雑多様化して、決められた手順を決められた方が割振りの中で坦々と仕事をこなして行くというやり方では通用しなくなり、ISO9001ではこの品質維持の上に、さらに顧客満足の向上も見据えたものにした方が良いという考え方が出てきました。つまりマーケットインの発想ですね。
私が普段行っているビジネスと言うのはプロセス(工程)の連続性であります。
1つのインプット情報が新たなアウトプットを生み出し、そのアウトプットがまた新たなインプット情報になる‥という具合に連続したプロセスが成果物やサービスを生み出しています。
A B C D
Input → Output/Input → Output/Input → Output/Input → ‥‥
という具合です。
通常私たちは上記のAやBの部分を工程と呼んでおり、成果物ができて行くプロセスの過程で仕事の段取りが変わったり、作業すべき人が変わったりする部分となります。
先ほど指摘した通りに従来の考えでは、このAやBをこなし品質の維持をしていく前提は手順書やマニュアルの徹底した順守で良かったのですが、日々変化する今の時代においては顧客の期待・要求に対応できるように各工程に付加価値を見出して、その付加価値が顧客の期待通りになっているのかをプロセスも併せて検証しなさいというように変化しているのです。
A B C D
Input → Output/Input → Output/Input → Output/Input → ‥‥
付加価値 付加価値 付加価値 付加価値
製販分離の支援を進めて行く中でまだまだ誤解が多いのが、過去の時代のカイゼン方式を取っていることです。私が今の時代に進めるべきは顧客満足を向上させるために各工程に対して一定の付加価値(目標)を設定して、プロセス全体の設計見直しを行うことが必要になるのです。
この15年間で200件以上の士業事務所の製販分離/カイゼン支援を実施してきて、会計業界だけが“昭和”の時代の仕事の進め方や価値から全然深化していないことに気づきます。今こそこの“プロセスアプローチ”の考え方が重要になるのです。
ちなみに工程における付加価値の意味がわかりませんという声を多く頂くので具体的例を挙げて説明します。
まず、顧客期待・要求として【早く成果物が欲しい】という状態の際に、会計事務所の月次業務を例に取ると、最初の工程に出てくるのが『回収』という工程です。上記図のAに当たります。何度も言うように従来の考え方では予め決められた手順をこなして行けば良かったのですが、今はそこに顧客満足向上を実現するために付加価値を実現させることが必要なのです。それでは上記の顧客期待に応えられる付加価値とは何でしょうか?
それは‥、例えば回収の時間を短縮させる(時短と言う付加価値)、回収の方法を改善する(回収コストの低減という付加価値)、回収する方の見直しを行う(人件費の見直しという付加価値)など沢山出てきます。このような様々な付加価値実現の工程見直しを継続的に行って、継続的に効果性の検証を行うこと=プロセスアプローチ/マネジメント=製販分離なのです。
文字にすると少々難しいように思いますが、製販分離はあくまでも生産性の向上と顧客満足の向上を同時に実現するマネジメントカイゼン手法なのです。
単に手順書やマニュアルを作って仕事をパートさんや派遣の方に割り振って量を尾kなすというものではないのです。
製販分離を推進されている方は再度基本に戻って、製販分離が目指すものは何か?製販分離をすることによってお客様も所長もスタッフもどのように良くなっていくのかを再度確認することをお勧めします。
その際に是非とも上記のプロセスアプローチの考えを徹底して浸透させて下さい。
最後に‥、もうお気づきだと思いますが上記を継続し改善し続けること=製販分離なので、製販分離には一生完成や終わりはないのです。その組織体がビジネスを継続する限り製販分離の活動を続いて行くのです!
50年、100年、200年と続く企業は上記の論理性を正しく理解しなくとも無意識の中で継続的改善と新たな付加価値の追求(顧客満足を充足できるための)を行ってきたのです。だからこそ長く行き残る企業のビジネスプロセスは進化/深化し続けているのです。伝統とは決められたことを決められた通りに守ることではなく、新たな付加価値創造へのチャレンジだということを忘れてはいけません!
是非とも製販分離というマネジメント手法を活用して30年、50年、100年続く企業になって行きましょう!
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イプシロンコンサルティング 代表取締役 角田 達也